株式会社フジテレビジョンは7日、同社および親会社の株式会社フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の取締役である安田美智代氏(55)が、同日付で両社の取締役を辞任したと発表しました。辞任の理由は、不適切な経費精が確認されたためとしています。
フジテレビジョンによると、今年9月中旬、社内のチェック機能により安田氏による一部不適切な経費精算の疑義が認められたことを受け、FMHの社外取締役を委員長とする監査など委員会とフジテレビの監査役が主体となり、外部専門家も交えて詳細な調査を実施しました。
その結果、安田氏が会食費用や物品購入について、事実と異なる経費精算を複数行っていたことが確認されました。
同日行われた記者会見で、フジテレビの清水賢治社長は、不適切な経費精算が2020年からの5年間で計約60件、総額約100万円に上ったことを明らかにしました。具体的には、会食の相手先や人数が申請と異なっていたケースなどがあったとのことです。
安田氏本人も上記の事実を認め、返金の意向を示すとともに、取締役の辞任を申し出ました。
安田氏は1992年にフジテレビに入社後、経営企画局幹部などを歴任し、一連の問題を受けた役員体制の刷新に伴い、今年3月にフジテレビ取締役、6月にFMH取締役に就任したばかりでした。
清水社長は会見で、刷新人事で登用した安田氏の不正について「極めて残念」と述べました。
フジテレビおよびFMHは、「全社一丸となって再生・改革に取り組んでいる中で、不適切な経費精算が行われていたことは断じて許されることではない」とコメント。今回の事案は、ガバナンス強化の一環である経費使用の適正化(厳格なガイドライン策定とチェック機能強化)に伴い判明したとしています。
なお、今回の事案を受け、改めて全取締役について調査を行った結果、同様の事案は確認されなかったとのことです。
両社はステークホルダーに対し謝罪するとともに、「再発防止に向け、引き続きガバナンスの強化を図ってまいります」としています。
