1979年12月15日の公開から46年。この日は、日本のアニメーション史において極めて重要な作品がスクリーンに登場した日です。モンキー・パンチ氏原作の人気シリーズ「ルパン三世」の劇場版第2作、『ルパン三世 カリオストロの城』が公開されたのが、今から46年前の今日でした。半世紀近くを経た現在でも多くのファンに愛され続け、アニメーションの教科書とも称される本作について、その歩みと魅力を振り返ります。
本作は、後にスタジオジブリを設立し世界的な巨匠となる宮崎駿監督にとって、初の劇場用長編アニメーション監督作品としても知られています。ヨーロッパの小国・カリオストロ公国を舞台に、幻の偽札「ゴート札」の謎と、大公家の令嬢クラリスを巡る冒険活劇が描かれました。冒頭のフィアット500による疾走感あふれるカーチェイスや、城の屋根を駆け抜ける躍動的なアクション、そしてルパン三世とクラリスの切ないロマンスは、公開から40年以上が経過した今もなお、観る者の心を掴んで離しません。
しかし、公開当時の状況は現在のような称賛一色ではありませんでした。前年に公開され大ヒットを記録した劇場版第1作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』と比較すると、SF色の強い前作に対し、中世ヨーロッパを舞台にした牧歌的でロマンチックな作風への転換は、当時のルパンファンの間で賛否が分かれました。
興行面においても、製作費約5億円に対し、配給収入は約3億円にとどまるなど、ビジネスとしては厳しい結果に終わりました。この商業的な不振により、宮崎氏は「客を呼べない監督」というレッテルを貼られ、その後しばらくの間、アニメーション映画の企画が通らない不遇の時代を過ごすことになります。今日では日本を代表する巨匠となった宮崎氏ですが、その映画監督としてのキャリアは、決して順風満帆なスタートではなかったのです。
評価の流れを大きく変えたのは、その後のテレビ放送や度重なるリバイバル上映でした。再放送のたびに高視聴率を記録し、ビデオグラムの普及とともに、その緻密な構成や演出の素晴らしさが広く認知されるようになりました。銭形警部がラストシーンで放つ「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」という台詞は、アニメ史に残る名言として語り継がれています。
近年の技術革新に伴い、本作はより鮮明な映像で蘇っています。2019年には公開40周年を記念して4Kリマスター版が上映され、昨年2024年の公開45周年の際には、初となるIMAXでの特別上映や全国規模でのリバイバル上映が行われ、公開当時を知らない若い世代も劇場に足を運び、宮崎氏が若き日に情熱を注いだ映像美を体験しています。
