KDDIは10月1日、楽天モバイルに対して提供している通信網の貸し出し(ローミング)エリアを大幅に縮小した。自社の電波が届かない場所を他社の回線で補う現行の契約が9月末で終了したことに伴う措置だ。10月からは新たな枠組みへと移行し、横浜市や神戸市など18の政令指定都市をはじめとする都市部での提供を原則として打ち切る。都内23区や大阪市などではすでに提供を終えており、今後は楽天モバイル自身による通信設備の整備が遅れている一部の地方に限定して、期間を定めた支援を継続するという。
楽天モバイルは2020年4月、国内4社目の携帯電話事業者として本格参入した。当時は自前の通信網が東京や大阪など一部の地域に限られていた。全国でサービスを提供するため、KDDIの通信網を広く借り受けて事業を展開してきた経緯がある。今回のエリア縮小は、本格参入から6年半が経過し、サービス立ち上げを支援するという当初の役割をKDDI側が終えたと判断したことが背景にある。KDDIが公開した10月以降の提供エリア地図によれば、これまで広く通信網を提供していた地域で縮小が顕著に現れた。これにより楽天モバイルの利用者は、自社の電波が十分に届かない都市部の一部地域や建物の奥などで、一時的に通信環境が不安定になる恐れも浮上する。
楽天モバイルは今後、自前の通信基地局の整備をさらに加速させる必要がある。同社の第5世代(5G)移動通信システムの基地局数は現在約3万5000局にとどまり、先行する大手3社と比べて大きな開きがある。他社からの通信網の借り入れに頼らず、全国で安定した通信品質を維持できるかが今後の焦点だ。多額の設備投資による財務負担の増加も予想され、契約者数の拡大と採算性の確保に向けた戦略が改めて問われる見通しだ。

