2025年日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」の大阪ヘルスケアパビリオンにおいて、京都市に本社を置く株式会社ファーマフーズは、「ひとと地球にやさしい繊維」をテーマに、新素材「ovoveil®(オボヴェール)」と京都の伝統芸術を融合させた、五感に響く体験を提供しています。

万博も終盤を迎え、このブース展示も残り一週間を切っています。特に注目されるのは、フィナーレを飾る秋のデザイン「もみじの錦」です。これまでの春、夏と季節に応じた「設え替え」を経て、会場は深まる秋の美しさに包まれています。

新素材「ovoveil®」の概要

卵殻膜を活用した繊維の特性

「ovoveil®」は、卵の殻の内側にある薄い膜、「卵殻膜」から開発された新繊維です。卵殻膜はタンパク質やコラーゲン、ヒアルロン酸など豊富な美容成分を含むことで知られていますが、それが繊維となることは注目されています。

  • 概要: 普段は廃棄される卵殻膜をアップサイクル(ごみを新たな価値あるものへと生まれ変わらせる)することで生まれた、環境負荷の低い次世代素材です。
  • 特徴:
    • 環境への優しさ: 資源を有効活用し、廃棄物の削減に貢献します。これは、現代社会が目指す「循環型経済(circular economy)」の具体例として挙げられます。特に環境意識の高い北欧諸国のアパレルブランドからは、すでに多くの引き合いがあるとのことです。
    • 独特の風合い: 「しっとりと滑らかな手触り」が特徴です。万博会場では、ovoveilで試作されたアパレル品も展示されており、その風合いを実際に体験できます。
    • 京都の伝統技術との融合: ovoveilとシルクを交織した「丹後ちりめん」など、日本の伝統技術と組み合わせることで、さらに上質な素材へと昇華させています。

展示会場の様子。白い円形の台の上に、青と白の布が舞っているように展示されている。背景には紅葉の絵が描かれたパネルが並び、様々な展示物も見える。

フィナーレを飾る「もみじの錦」

今回のフィナーレを飾る「もみじの錦」デザインのタペストリーは、横幅10メートル、高さ3メートルという壮大なスケールで展示されています。友禅作家でありグラフィックデザイナーの川邊祐之亮氏が手がけ、モチーフは紅葉のみです。その一部には伝統的な金箔押しがあしらわれ、風に揺れるたびに優雅な光を放ち、会場を錦秋の気配で包み込みます。

川邊氏のコメントにもあるように、これは京都の暮らしに息づく「設え替え(しつらえかえ)」という生活文化から着想を得ています。季節の移ろいを大切にし、室内を快適に保ちながら、素材や色彩で四季の美しさを五感で味わう。このブース全体が、京都の「自然を敬い共に生きる術」と最先端科学の融合を体現しています。

さらに、空間演出には、京都のお香の老舗・松栄堂がこの設え替えに合わせて調合したオリジナルの香りが加えられ、視覚だけでなく嗅覚からも「秋」を感じさせてくれます。この繊細なこだわりが、来場者が繰り返し訪れたくなるような趣深い空間を創出しています。

「ovoveil®」の今後の展望

ファーマフーズ社のブースには、開幕から9月末までに延べ36万人もの来場者が訪れています。この数字からも、新素材ovoveil®への関心の高さがうかがえます。万博への出展は、一般の方々への企業認知拡大はもちろんのこと、国境を越えたビジネスマッチングの場としても大きな成果を上げています。特に「循環型経済」に力を入れる北欧諸国との商談は、今後のovoveil®の国際的な展開に弾みをつけることが期待されます。

この繊維が、未来のファッションや生活用品をどのように変えていくのか、今後の展開が期待されます。

展示を支える協力企業

この展示は、多くの専門家と企業との連携によって実現されました。

  • タペストリー展示のデザイン制作

    • 有限会社ジャパンスタイルシステム(担当:川邊 祐之亮氏)
    • WEBサイトはこちら
    • 京町家の「設え替え」文化に根差した、季節感あふれるデザインで空間を彩っています。
  • ブース空間の香りの調合

    • 株式会社 松栄堂
    • WEBサイトはこちら
    • 創業300年を超える京都のお香の老舗が、五感に訴える繊細な香りで特別な空間を演出しています。
  • タペストリー展示のovoveil®生地制作

    • 田勇機業株式会社
    • WEBサイトはこちら
    • ovoveil®とシルクを交織した、伝統と革新が融合した「丹後ちりめん」を生み出しました。

大阪・関西万博 ファーマフーズブースへの来場案内

万博の閉幕まであとわずかです。まだファーマフーズ社のブースを訪れていない方は、ぜひこの機会に、五感で感じる「ひとと地球にやさしい繊維」の世界を体験してください。卵殻膜が織りなす未来と京都の伝統美が融合した展示が展開されています。

この展示は、実り多き未来を願うメッセージとなっています。

お問い合わせ先
株式会社ファーマフーズ 経営戦略部 広報担当
Email: press@pharmafoods.co.jp