株式会社繋(本社:東京都千代田区、代表者:大岩 政博)は、若者のキャリア選択に関する15歳から24歳の男女1,000名へのアンケート結果を発表しました。調査では、仕事を選ぶ際に話を聞こうと思う相手の中心が「母親」であることが明らかになり、情報源の偏りが不安や職業選択の制約を生んでいる実態が浮き彫りになりました。本リリースでは、調査結果の詳細と、仕事の選択における心理構造や相談ネットワークの課題を解説します。

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若者の仕事を選ぶ際の相談は「母親中心」

■概要
・母親中心の相談ネットワークが情報の閉鎖性を生む
・親世代の価値観がキャリア選択を制約する可能性
・若者は「現場のリアル」を強く求めている
・情報提供の仕組みと相談ネットワークの多様化が不可欠

■調査概要
調査名称: 仕事を選ぶことに関するアンケート
調査方法: セルフ型アンケートツール「Freeasy」によるインターネット調査
調査期間: 2025年10月28日
回答者 : 1,000名
※構成比は複数回答であること、小数点以下第2位を四捨五入していることより、合計しても必ずしも100とはなりません。
※本調査を引用・転載いただく際は出典元として「株式会社繋」を明記し、下記リンクを設置ください。
URL: https://www.tsng.co.jp/archives/995

■仕事を選ぶ際に潜む「不安」と情報不足の構造
仕事を選ぶことは、若者にとって人生の方向性を決定する重大な局面です。しかし、今回の調査では、仕事を選ぶ際に「不安」を感じる割合が最も高く、学生層では20.0%、社会人層を含めた全体でも19.0%に達しました(以降、()内の数値は回答者全体の割合)。次いで「ダメかも感」が15.1%(16.4%)、「思考停止」が10.5%(10.1%)と続き、ネガティブな心理が強く表れています。一方で、「ワクワク」は8.4%(9.5%)、「好きなことを仕事にしたい」は8.9%(8.4%)、「頑張ればできる」は6.9%(6.4%)と、前向きな感情は相対的に低水準でした。
この結果は、仕事を選ぶ際においてポジティブな期待よりも「失敗するかもしれない」という不安が先行していることを示しています。なぜ不安が強いのか?その背景には、情報不足と職業イメージの不鮮明さがあります。若者は「どんな仕事があるのか」「その仕事の実態はどうなのか」という基本的な情報を十分に得られないまま意思決定を迫られています。
こうした情報不足は、心理的負担を増大させ、結果として「思考停止」や「安全志向」に陥る傾向を強めます。これは個人の問題にとどまらず、社会全体の人材流動性や新しい産業への挑戦を阻害する要因となり得ます。仕事を選ぶ際の不安を軽減するためには、情報の質と量を改善し、若者が多様な選択肢を比較できる環境を整えることが不可欠です。

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学生vs社会人の感情比較

■相談先の偏りと親の影響力が仕事の選択に与える影響
調査結果で最も特徴的だったのは、仕事を選ぶ際のネットワーク構造における「親への依存度の高さ」です。回答者1,000名のうち、仕事を選ぶ際に誰に相談するか(社会人層は就職前に誰に相談したかを回答)を尋ねたところ、母親が圧倒的な割合で最多となりました。学生層では男性では50.9%、女性では56.0%と、性別を問わず母親が一次相談先として突出しています。社会人層を含めた全体でも男性では41.7%、女性では52.4%に達しました(以降、()内の数値は回答者全体の割合)次いで父親(男性41.3%(35.6%)、女性31.0%(52.4%))、先生(男性23.2%(18.3%)、女性21.3%(12.0%))と続きます。先輩やキャリアカウンセラーはさらに低く、相談ネットワークは家族に強く偏っていることが明らかになりました。
この偏りは、仕事を選ぶ際における情報の閉鎖性を生み出しています。親世代の知識や価値観に依存する構造は、現代の多様な職業や働き方に関する情報を遮断するリスクを伴います。特に母親は「安全志向」「安定重視」の傾向が強く、親自身が経験した時代背景や価値観に基づくアドバイスを行うため、現代の労働市場や新しい職業の実態を反映していない場合があります。その結果、若者の挑戦意欲が抑制され、キャリア選択の幅が狭まる可能性があります。
自由記述では、「アルバイト先の先輩」「大学キャリアセンター」など、親以外の身近な第三者への依存も見られますが、これも限定的です。さらに、「相談しない」「分からない」「思いつかない」と回答した層も一定数存在し、仕事の選択における孤立感や情報不足の深刻さが浮き彫りになっています。
性別による違いも興味深い結果を示しました。男性は先生や業界人への接点をやや多く持つ一方、女性は父親への相談比率が高めです。この違いは、家庭内でのコミュニケーション構造や仕事の選択に対する期待の差異を反映している可能性があります。こうした微妙な差異を踏まえた支援策の設計が求められます。

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仕事を選ぶ際に相談する人

■情報不足を解消するために必要な視点と社会的課題
今回の調査結果から浮かび上がった課題は、単なる「情報不足」ではありません。それは、情報源の偏りによる構造的な問題です。母親中心の相談ネットワークは、親世代の価値観に基づくアドバイスを強化する一方で、現代の多様な職業や働き方に関する情報を遮断する可能性があります。この構造を変えるためには、若者が幅広い情報にアクセスできる環境を整えることが不可欠です。
回答者1,000名のうち、仕事を選ぶ際に気軽に相談できる社会人がいた場合に、話を聞いてみたいか?という問いに対して、学生層は37.3%、社会人層を含めた全体では36.9%と高い水準の回答となっています。。
そこから見えてくるものは、重要なのは、公式情報だけでなく、現場のリアルな声を届ける仕組みです。若者は「その仕事の大変さ」「やりがい」「キャリアパス」など、実際に働く人の経験談を求めています。こうした情報は、パンフレットや求人票では得られないため、社会全体で情報提供の仕組みを強化する必要があります。
また、相談ネットワークの多様化も課題です。家族や学校関係者に加え、企業人や業界の専門家との接点を増やすことで、若者はより現実的で多角的な視点を持てるようになります。これは、仕事を選ぶ際の不安を軽減し、挑戦意欲を高めるための鍵となります。
さらに、今回の調査では「相談しない」「分からない」と回答した層が一定数存在しました。これは、情報不足だけでなく、仕事の選択に対する心理的ハードルの高さを示しています。こうした層に対しては、情報提供だけでなく、安心感を与えるコミュニケーションの仕組みが必要です。

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社会人への相談希望率

【会社概要】
会社名 :株式会社繋( https://www.tsng.co.jp )
所在地 :〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-8-17 福家ビル6階
代表者 :代表取締役 大岩 政博
事業内容:それぞれの「はたらく」を支援する
業務プロセスの見える化、改善
DX推進支援
システムリスク対策
就業・転職支援サービス
従業員数:5名

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プレスリリース提供元:@Press