株式会社関通は、2024年に経験した深刻なサイバー攻撃からの復旧プロセスと、経営者が下した決断について、「RIKEN 未来創造フェス2025」で発表しました。この経験を基に、同社はサイバーセキュリティ専門企業CISOと協業し、実践型プログラム「サイバーガバナンスラボ」を立ち上げ、企業全体のセキュリティ文化醸成を支援します。

株式会社関通が語るサイバー攻撃からの復旧

物流とITオートメーション事業を展開する株式会社関通の代表取締役社長、達城久裕氏が「RIKEN 未来創造フェス2025」に登壇しました。講演では、「サイバー攻撃を乗り越えた企業の選択 ~経営者が築くセキュリティ文化~」と題し、2024年に同社が直面した「企業存続の危機」とその復旧プロセス、経営判断について具体的に語られました。

達城社長は、この危機を企業文化変革と再成長の契機と捉え、迅速な復旧を実現したと説明しています。また、セキュリティ専門企業である株式会社CISO代表の那須慎二氏も登壇し、関通の復旧支援の立場から、中堅・中小企業が陥りがちなセキュリティの盲点と克服法について提言しました。

プレゼンテーションをしている男性と、その内容が示されたスライドの写真。

参加者アンケートから見るセキュリティ意識

講演後のアンケートでは、52名の参加者のうち40名が回答し、サイバーセキュリティへの高い関心が示されました。

特に参考になった内容として、「サイバー被害と復旧までの取り組み」が27件と最も多く挙げられました。その他、「攻撃の経緯と初動対応」(22件)、「セキュリティ戦略と経営者の役割」(21件)、「中小企業が陥りがちな盲点とその克服法」(20件)も高く評価されています。

サイバーセキュリティに関するセミナーのアンケート結果を示すグラフ。参加者が特に参考になった内容を複数回答で集計している。内容は、サイバー被害と復旧、攻撃の経緯と初動対応、社内体制の混乱と再構築、社員との信頼関係の再構築など多岐にわたる。各項目について、参考になったと回答した人数が棒グラフで示されている。

今後セキュリティ対策を検討する際に重視するポイントとしては、「外部からの攻撃対策」と「コスト」が同率で最も多く、それぞれ25件(26%)を占めました。これは、効果的かつ現実的な予算内での対策が求められている現状を反映しています。

セキュリティ対策を検討する際に重視するポイントに関するアンケート結果を示す円グラフ。コストと外部からの攻撃対策が同率で最も重視され、運用のしやすさ、法令遵守、その他が続く。

また、講演内容を踏まえたセキュリティ対策の検討相談意向では、参加者の97%が前向きな姿勢を示しており、「検討中」が22件(55%)、「はい(相談したい)」が17件(42.5%)となりました。

セキュリティ対策の検討に関するアンケート結果を示すグラフ。回答の内訳は、はいが26%、いいえが14%、検討中が52%、他社が7%、その他が0%となっている。

BCPとサプライチェーンの重要性

達城社長は、サイバー攻撃発生時の事業継続計画(BCP)の策定と訓練の重要性を強調しました。参加者からも「サイバー攻撃の被害が発生する前提でのBCPプラン策定と訓練の重要性を再認識しました」といったコメントが寄せられています。さらに、「被害者であると同時に取引先に対しては加害者となってしまう」という視点も提示され、サプライチェーン全体でのセキュリティ対策の必要性が指摘されました。

セミナーに関するアンケートへの回答が書かれた画像。参加者の感想や意見が日本語で記述されている。

実践的ソリューション「サイバーガバナンスラボ」

関通は、2024年に受けたサイバー攻撃という未曾有の危機を経て、企業としての在り方やサイバー対策の根本的な見直しに迫られました。この経験を活かし、サイバーセキュリティ専門企業CISOと提携し、実践型プログラム「サイバーガバナンスラボ」を立ち上げています。このプログラムは、関通自身のリアルな被害事例に基づく知見を提供し、経営目線と専門技術の融合により、危機対応に必要な「備え」と「行動」の習得を支援します。

サービス詳細はこちら:サイバーガバナンスラボ

登壇者および関連企業

株式会社関通

EC物流のパイオニアとして40年以上の歴史を持ち、年間約1,500万個以上の出荷実績を誇ります。toC・toB物流アウトソーシングからシステム開発・販売まで幅広く手掛けています。2024年のサイバー攻撃を乗り越え、その経験を業界の未来に還元する姿勢を示しています。

テーブルに座り、カメラ目線で微笑む高齢男性のポートレートです。彼は白のインナーに薄い黄色のジャケットを着ています。

公式サイト:株式会社関通

株式会社CISO 代表取締役 那須慎二氏

インターネットがまだ黎明期だった1992年からコンピュータテクノロジーを専攻。大手情報機器メーカーや大手経営コンサルティングファームでの経験を経て、中堅・中小企業専門のサイバーセキュリティ支援を行う株式会社CISOを創業しました。「人の心根を良くすることで『セキュリティ』を考える必要のない世界の実現」を目指し、長年の知見に基づく独自のセキュリティコンサルティング(特許取得済み)を提供しています。

黒いジャケットと白いタートルネックを着た、東洋人の男性のポートレートです。彼は穏やかな表情をしています。