提供:@Press
株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役社長 瀬津要)は、2025年10月10日にPHP文芸文庫『闇中問答』(葉室 麟著/税込 869円)を発売します。「闇中問答」は、2017年に逝去された葉室麟さんがデビュー前に執筆した中編小説で、信長の出生の秘密に迫る、ミステリアスな展開の作品。本書は、この未発表原稿に、信長に関するエッセイと歴史読物、文芸評論家の末國善己さんの解説を加えた一冊です。PHP文芸文庫の創刊15周年を記念して発刊いたします。
担当編集とご家族の会話から誕生した一冊
きっかけは、『霖雨』『墨龍賦』『暁天の星』(いずれもPHP文芸文庫)を担当してきた編集者がご家族のもとに伺った折に、「作家として出発点となるような作品」について話題にしたことでした。訪問からしばらくして、ご家族から編集者の元に届けられた原稿が「闇中問答」です。まだデビュー前の作品で、ワープロで書かれたものが葉室さんのご自宅に眠っていました。葉室さんは、これまで織田信長の周辺人物を描いた作品は書かれていましたが、信長その人に迫る作品は上梓されずに逝去。しかし、今回この作品を通して、葉室さんの信長観を垣間見ることができます。「闇中問答」は、信長の目が青かったという設定からその人生を掘り起こしていく力作で、担当編集者は「その後の葉室さんの作品をより深く味わうためにも、重要な作品だと確信した」と述べています。PHP文芸文庫が10月に創刊15周年を迎えることもあり、記念作品の一冊として書籍化が決定しました。
斬新な発想で新たな信長を描く
「闇中問答」は、ロレンソ了西を訪ねてきた織田家中の男が、信長の周囲にいた人たちから聞き出した書き付けを読み聞かせるという形をとった小説です。徐々に信長の秘密が浮かび上がる構成が、同じタイトルの芥川龍之介の作品「闇中問答」を彷彿とさせます。当時の戦国大名とは一線を画す信長をめぐる謎が、出自の秘密と絡まり、葉室さん独自の解釈で新たな信長像が描き出されています。解説を担当した末國さんは、「作品の完成度は”習作”のレベルではなく、後の葉室作品に受け継がれたエッセンスもあるので、著者の創作活動を考えるには不可欠で重要なポジションを占める」と本作品を評価しています。
『闇中問答』について
【内容紹介】
織田信長の目は、なぜ青かったのか。本当の両親は誰か――。
来日したカトリック宣教師の日記などを読み解き、そこから想いを膨らませて、信長出生の謎に大胆に迫る中編小説「闇中問答」。
この未発表の本作に、エッセイや歴史読物を加え、文芸評論家の末國善己氏の解説を加えた文庫オリジナル。
【著者略歴】
葉室 麟(はむろ りん)
作家。1951年、福岡県北九州市生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年作家デビュー。07年、『銀漢の賦』で松本清張賞、『蜩ノ記』で直木賞を受賞。その他、『散り椿』『無双の花』『冬姫』『霖雨』『墨龍賦』『暁天の星』などの作品がある。
【書誌情報】
タイトル:闇中問答(あんちゅうもんどう)
著者:葉室麟
価格:869円(10%税込)
判型・製本・頁数:文庫判・並製・128ページ
シリーズ:PHP文芸文庫
発行:PHP研究所
ISBN978-4-569-90525-9