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笹埜健斗(岡山大学特定教授)は、N-E.X.T.ハイスクール構想を「導入して終わる改革」ではなく「地域で回り続ける改革」として定着させるため、EdTech設計原則レジストリ(EDPR: EdTech Design Principles Registry)構想を発表し、準備会および参画募集を開始しました。EDPRは、教育委員会・学校・大学・研究者・企業・地域団体などが現場で得た実装知を、単発の事例紹介ではなく、再利用可能な設計原則として整理・共有することを目的とする公共的知見基盤です。

EdTech設計原理レジストリ(EDPR)
文部科学省は2026年2月13日にN-E.X.T.ハイスクール構想を含む高校教育改革のグランドデザインを公表し、今後は各都道府県において実行計画を策定しながら、高校教育改革を推進する方針を示しています。あわせて、首長、関係部局、大学、地域の関係者、産業界との連携・協働を図り、改革先導拠点の取組・成果を地域全体へ普及することも重視しています。EDPR構想は、こうした「実行計画」「連携体制」「域内普及」を支える教育DXプラットフォームとして位置づけられます。

全体コンセプト図
一方で現場では、良い実践が生まれても、どの文脈で、どの条件で、なぜ機能したのかが十分に整理されないまま流通し、「一校だけの成功」「担当者依存のノウハウ」にとどまりやすいという課題があります。さらに、EdTechの導入では、製品やサービスの新規性が先に語られやすく、学習目標との整合、教師の専門性、データの扱い、地域適合性、継続運用条件といった設計上の論点が共有されにくい状況があります。EDPRは、こうした断片化を乗り越え、実装知を公共的に蓄積するための仕組みです。
EDPRに登録する対象は、製品カタログや成功事例集ではありません。登録単位は「設計原則」です。たとえば、どのような学習課題に対して、どのような活動設計が有効だったのか。どのような教師支援や運用条件が必要だったのか。どのような限界や失敗条件が見えたのか。他地域・他校へ移植する際に何を変える必要があるのか。こうした情報を、文脈・原則・根拠・限界・移植条件とセットで記述することを想定しています。

ツールの体系図
笹埜健斗がこれまで整理してきたPICRAT-AI、AI-CE、FRATC 2.0、踊り場、実装ロードマップなどの枠組みは、こうした設計原則を抽出・比較・知見化するための基盤となります。第1弾で公開した実装支援ツールキット、第2弾で示した「10の判断基準」、第3弾で進める研究実装パートナー募集や共同設計の取組から得られる知見を、今後EDPRの初期登録候補として整理していきます。

実装ロードマップ
また、EDPR構想では、自治体・企業・大学の社会実装を支援してきた一般社団法人プラチナ構想ネットワークとの連携も視野に入れています。プラチナ構想ネットワークは現在、社会実装中心の段階にあり、自治体と企業・大学の連携や試みを進めています。会員連携支援事業では、法人会員の技術・ノウハウと自治体会員のフィールドを結びつけ、社会課題解決に向けたプロジェクト形成を支援しており、スクール事業でも自治体職員や次世代人材育成に取り組んでいます。EDPRは、こうした社会実装ネットワークと接続することで、教育分野における実装知の共有基盤としての公共性を高めることを目指します。

N-E.X.T.ハイスクール構想における位置づけ
今回の発表では、EDPRの本公開に先立ち、準備会と参画募集を開始します。準備会では、(1)登録単位としての「設計原則」の定義、(2)登録様式、(3)公開範囲と守秘のルール、(4)設計原則のカテゴリ設計、(5)β版で優先的に扱う初期領域の整理を進めます。初期領域としては、AI活用を含む授業・課題設計、初期90日運用、教師支援・校内研修、地域連携・外部協働、多様な学習ニーズへの対応などを想定しています。

設計原則の5要素モデル
■EDPRとは
EDPR(EdTech Design Principles Registry) は、教育実践・教育DX・EdTech実装に関する知見を、「文脈」「設計原則」「根拠」「限界」「移植条件」 の5要素で蓄積・共有するための知見基盤です。
目的は、
(1) 一校の工夫を再利用可能な原則へ変えること
(2) ベンダー依存や担当者依存ではない実装知を残すこと
(3) 教育委員会・学校・研究者・企業・地域団体の共通言語をつくること
です。
■今回募集する参画対象
・都道府県教育委員会、市区町村教育委員会、学校管理職
・学校教育改革、探究学習、教育DXに関わる大学・研究機関
・実装知の知見化に関心のある企業・ベンチャー・地域団体
・公共的な設計原則の整理・共有に関心のあるメディア、NPO、支援機関
■準備会で扱いたい主な論点
・EDPRの登録単位を何にするか
・登録様式をどう設計するか
・実践知の公開範囲と匿名化ルールをどうするか
・AI活用、教師支援、地域連携など、どのカテゴリから始めるか
・β版で最初に公開する設計原則の条件をどう定めるか
■笹埜健斗コメント
「教育改革で本当に不足しているのは、個別の成功事例そのものではなく、それを他の地域や学校でも生かせる形に翻訳した“設計原則”だと考えています。N-E.X.T.ハイスクール構想を本当に社会に根づかせるには、何が効いたかだけでなく、どの文脈で、どんな条件で、どこに限界があったのかまで含めて知見を整理し、共有可能な形にする必要があります。EDPRは、そのための公共的知見基盤です。一校の工夫を、次の学校の出発点に変えていきたいと考えています。」
■プロフィール
笹埜健斗(ささの・けんと)
岡山大学特定教授。慶應義塾大学SFC研究所上席所員、一般社団法人日本教育DX推進協会理事長。専門はAIによる個別最適かつ協働的な学習体験デザイン。教育DX、探究学習、学習設計に関する研究と社会実装を進めている。フジテレビ『ホンマでっか!?TV』などメディア出演・情報発信も行う。
■問い合わせ先
笹埜健斗研究室(Kento Sasano Lab.)
公開ページ : https://sasano.org/
参画申し込み: https://forms.gle/kZijKYvZtD1chpuD6
取材申し込み: https://sasano.org/#contact/
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