皆さんは、資生堂と聞いて何を思い浮かべますか?最新のスキンケア、それとも美しいパッケージのコスメでしょうか。資生堂の美への情熱は、私たちが想像するよりも深く、多岐にわたることをご存知でしょうか。
この度、横浜にある資生堂の研究開発拠点「資生堂グローバルイノベーションセンター」内に、新たな企業展示空間「Shiseido Art & Heritage Passage」が誕生しました。2026年1月28日にオープンする「Origin」ゾーンは、資生堂の150年にわたる「美と知のあゆみ」を五感で味わえる、唯一無二の場所です。
「Art & Science」が織りなす、美のジャーニー
資生堂は1872年の創業以来、「Art & Science」をDNAとして受け継いできました。1階の「Shiseido Beauty Park」では、先端の「Science」に基づいた未来の美の体験を提供していますが、今回新設された2階の「Shiseido Art & Heritage Passage」は、「Art」の視点からその歴史と美意識を紐解きます。
単なる資料展示とは一線を画し、貴重なアーカイブだけでなく、五感を刺激する体験を通じて、資生堂がどのように時代と共に美を創造し、文化を育んできたのかを感じられるのが最大の見どころです。

「Origin」ゾーンで辿る、資生堂の美の哲学
「Origin」ゾーンは、「原点-黎明期から今に生き続ける美意識」をコンセプトに、資生堂が紡ぎ続けてきた美の哲学と独自の表現を5つのコーナーで紹介しています。
1. 「Shiseido Seasons」:美意識が織りなす四季の物語
日本文化に深く根差す資生堂の美意識は、四季の移ろいと共に新しい形を見せてきました。「Shiseido Seasons」では、春夏秋冬をテーマに、資生堂のアーカイブ資料や広告が展示されます。
2026年1月~3月の展示テーマ「Powder Snow」では、雪化粧のような繊細さと、舞い踊る粉雪の軽やかさを映した商品や広告が展示され、冬の静けさと煌めきが交差する瞬間を見事に表現しています。雪景色の中に身を置いているかのような美しさを表現しており、関連する最新商品も体験できるスペースでその美学に触れることができます。

2. 「1872」:資生堂の原点とものづくりの精神
資生堂の始まりは、1872年に銀座に創業した日本初の民間洋風調剤薬局でした。このコーナーでは、創業者の福原有信(ふくはら ありのぶ)が追求した品質と本物志向、そしてそれをさらにデザインの領域まで発展させた初代社長福原信三(ふくはら しんぞう)の美の哲学(フィロソフィー)が紹介されています。単なる商品作りではなく、「良いものを作る」という普遍的な精神が、今にどう受け継がれているのかが垣間見えます。

3. 「商品を藝術化する」:細部まで宿る美意識
福原信三が掲げた「商品をしてすべてを語らしめよ」「ものごとはすべてリッチでなければならない」という哲学。これは、中身の品質だけでなく、パッケージ、ラベル、ボトルデザインに至るまで、すべてが美しくなければならないという信念から生まれたものです。このコーナーでは、その美意識が息づく資生堂化粧品の数々が展示され、洗練された優美さと気品を感じることができます。一つ一つの商品が芸術作品のように展示されています。

4. 【Scent of Memory】記憶を呼び覚ます香りの体験
五感の中でも、嗅覚は記憶や感情と最も強く結びついていると言われています。このコーナーの目玉は、体験展示「Scent of Memory(記憶の調香台)」です。ここでは、あなたの中に眠る記憶を呼び起こし、その断片を調香することで、あなただけの特別な香りを作り出すことができます。
香りの展示を巡るだけでなく、自ら香りを「創る」という体験は、まさに五感で資生堂の美意識を深く理解するのに最適です。記憶に残る体験となるでしょう。

5. 「生活を彩る」「社会と共にあゆむ」:美を超えた資生堂の挑戦
資生堂の活動は、化粧品の製造販売だけにとどまりません。西洋料理という新たな食文化を提供した資生堂パーラー、新進作家を支援する資生堂ギャラリー、海外の最新情報を紹介した機関誌の発刊、街を彩るショーウィンドウ。これらはすべて、人々の生活をより美しく、豊かにするための先進的な取り組みです。

また、美容科や美髪科、子供服科といったライフスタイルの提案から、日本初の科学的な肌タイプ別美容法の提唱まで、資生堂は常に「社会と共に」美を追求してきました。化粧の役割を深く考え、人々の美と健康を願う姿勢は、現代のサステナビリティにも通じる、企業としての深い哲学を感じさせます。

特別展示:「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」展
「Origin」ゾーンのオープンに合わせて、双子アーティスト髙田安規子・政子による特別展示「Perspectives この世界の捉え方」も開催されます(2026年1月28日〜3月15日)。
資生堂の社名の由来である中国古典「易経」の一節「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)」という自然への賛歌を起点に、ArtとScienceを融合させた独自の表現を追求する二人の世界観は、資生堂のものづくりDNAと深く共鳴します。
特に注目したいのは新作《Strata》です。本を積み重ねて地層に見立てたこの作品は、約500冊の本と鉱石・化石で、生物の誕生から現代(人新世:人類が地球環境に大きな影響を与えるようになった時代)までの時と知の連なりを表現しています。時間の概念を深く考えさせる《Timepiece》、自然の摂理をフラクタル形態(自己相似的な図形)で示す《Can’t see the forest for the leaves》など、どれも圧倒的なスケールと緻密さで、私たちの「この世界の捉え方」に新たな視点を与えてくれるでしょう。


五感で味わう体験の締めくくり:期間限定スイーツ
美の探求で刺激された五感は、「Shiseido Kitchen Lab」で提供される期間限定スイーツで締めくくることができます。
「未来唐草が彩るベリーチーズムース」(1,200円 税込)は、資生堂に長く受け継がれる「唐草模様」を現代的に再構築し、「未来へ伸びていく生命の象徴」として表現した一品です。なめらかなチーズムースをチョコレートで優しく包み、甘酸っぱいベリーが添えられています。鮮やかな赤と、カットすると現れる白のコントラストが印象的です。提供される体験価値を考慮すると、適切な価格設定であると考えられます。
Shiseido Kitchen Labでは、資生堂グループの先進サイエンスを応用し、「肌・身体・心のつながり」を解き明かす食体験を提供しています。美しさと美味しさを両立しており、「Art & Science」の美意識が食にも息づいています。

実用情報
この「Shiseido Art & Heritage Passage」は、入場料無料です。資生堂の美の価値を広く伝えるという意図がうかがえます。
- 施設名: Shiseido Beauty Park
- Shiseido Art & Heritage Passageは2階にあります。
- 住所: 横浜市西区高島一丁目2番11号
- アクセス:
- みなとみらい線「新高島」駅 1・2番出口すぐ
- JR/市営地下鉄「横浜」駅 東口から徒歩10分
- 入場料: 無料
- 公式サイト: https://shiseidobeautypark.shiseido.com/?rt_pr=tru21
- 公式Instagram: https://www.instagram.com/shiseidobeautypark/
※各エリアの営業時間は公式サイトでご確認ください。
資生堂が長年にわたり培ってきた美意識、そして未来へと繋がる革新の精神が、この「Shiseido Art & Heritage Passage」には凝縮されています。過去から現在、そして未来へと続く「Art & Science」の美のジャーニーは、訪れる私たちに新たな視点と感動を与えてくれるでしょう。
歴史を学び、アートに触れ、香りを創作し、美味しいスイーツを味わう。五感をフル活用して、資生堂が描く「美」の世界を、あなたもぜひ体感してみてください。日常を彩る「美」のヒントを得られる機会となるでしょう。
