株式会社日立ソリューションズ・テクノロジー(本社:東京都立川市、取締役社長:平間 顕一、以下、日立ソリューションズ・テクノロジー)は、2025年11月に発表した Vision Language Model(VLM)を活用した生成AIソリューションに関連し、同モデルを活用した実証実験および開発に取り組んできました。
生成AIは実証実験において有効性が確認される一方で、実環境では組み合わせる画像データの品質や誤検知の影響により、安定運用が難しいという課題があります。
今回、これらの取り組みで得られた知見を踏まえ、生成AIに入力する画像データを適切に選別する高精度AIを開発し、「生成AI用イベント検知ソフトウェア」として製品化しました。低リソースなCPU環境でも動作可能であり、屋外インフラ監視用途向けに提供を開始します。本ソフトウェアでは、エッジ側での前処理により生成AIへの入力を最適化し、不要データの影響を抑制することで、処理負荷を抑えながら安定した運用を可能にし、生成AIの実用化を支援します。この度、第一弾として、アムニモ株式会社のエッジAI用のゲートウェイ製品に搭載し、エッジ前処理と生成AIを組み合わせた新たなアーキテクチャを実現しました。
■背景・課題
近年、VLMをはじめとする生成AIの進展により、監視カメラ映像などの画像データを活用した状況把握や判断支援の適用領域が広がっています。
一方で、実証実験における環境では有効性が確認されるものの、実環境では大量データの処理負荷や不要情報の混在により、安定運用が難しいという課題があります。このような課題に対し、生成AIを実運用で活用するためには、入力データを適切に選別・加工する前処理が重要となります。
日立ソリューションズ・テクノロジーはこれまで、実証実験および開発を通じて、画像データの前処理やイベント抽出をエッジ側で効率的に行う技術に取り組んできました。本製品は、これらの知見をもとに、生成AIに適した入力データを安定的に生成するための前段処理ソフトウェアとして提供するものです。
■製品の特長
・エッジ前処理による誤検知抑制
低リソースなCPU環境でも動作可能な設計とすることで、高価なGPUを必要とせず、発熱や消費電力を抑えた構成を実現しています。また、エッジ側で映像データの前処理およびイベント抽出を行うことで、生成AIに送信するデータを必要最小限に絞り込み、通信量の削減とリアルタイム性の向上を実現します。この結果、生成AI側の処理負荷や電力消費を抑えつつ、安定した監視運用を可能とします。
・サーマル画像特有のノイズを考慮した高精度AI
太陽光の反射や温度変化といったサーマル画像特有のノイズを考慮した学習設計により、環境変化の影響を受けにくい安定した検知性能を実現します。
・屋外インフラでの長期運用を見据えた運用支援機能
連続フレーム解析による誤検知抑制やGUIによる設定変更機能により、現場での調整負担を軽減しながら継続的な運用を支援します。
■提供価値
本製品により、屋外インフラ監視における誤検知・過剰検知を抑え、安定した監視運用を実現します。また、生成AIの入力データを最適化することで、処理負荷や通信コストの抑制を図りながら、実運用で活用可能な水準での生成AI活用を可能とします。さらに、GPUを必要としない構成により導入コストを抑制し、既存設備を活用した早期立ち上げにも貢献します。これにより、監視・巡回業務の負担軽減や対応コストの低減に貢献するとともに、生成AI活用の実運用への展開を支援します。

生成AI用イベント検知ソフトウェア
■今後の計画
本技術は、屋外インフラ監視にとどまらず、屋内の駐車場監視やフロントラインワーカーの安全支援・業務効率化など、さまざまな現場における生成AI活用の基盤として展開し、安心安全、業務効率向上に貢献します。
・駐車場監視:機器の破損や施設管理上の不具合の検知・把握
・フロントラインワーカーの安全支援、業務効率化:危険行動や異常兆候の検知、作業手順の確認や業務状況の把握
・各種現場の監視:設備や環境の状態変化を捉え、状況の言語化・記録を通じて運用の高度化
■今回の発表に関するコメント
アムニモ株式会社 代表取締役社長 小嶋 修 様
・エッジ前処理と生成AIを組み合わせた新たなアーキテクチャとして期待
この度、AI実装技術の中核を担う日立ソリューションズ・テクノロジーが開発した先進のAIソフトウェアが当社の製品向けに提供開始されることを深く歓迎いたします。
当社では、エッジAI用のゲートウェイ製品を自社開発し、さまざまな現場への画像AIの導入を進めてきましたが、従来のAIでは精度向上のための追加学習により導入までの期間の長期化とコストの増大が大きな課題となっていました。
今回提供された「生成AI用イベント検知ソフトウェア」は、すでに膨大な学習が蓄積された生成AIにて高い検出精度が実現できることに加え、エッジ側で画像データの前処理およびイベント抽出を行うことで、生成AIに入力する情報を適切に選別し、不要な検知を抑制することによる監視の安定化が期待されています。
また、エッジ側のリソースが限られた環境でも動作可能である点は、低発熱で消費電力が少ないことを特徴とする当社エッジゲートウェイ製品との親和性が高く、さまざまな現場への適用を可能にする点で大きなメリットがあると捉えています。
本ソフトウェアによって実現する、エッジAIの前処理と生成AIによる解析の組み合わせという最先端のアーキテクチャが、実用的なAIソリューションのひとつの方向性を指し示すものとして広く普及していくことを期待しています。
今後も当社は、本技術の提供を通じて現場への展開を進めるとともに、前処理およびエッジ処理を含めた設計思想に基づき、さまざまな分野への適用を広げていきます。
■「生成AI用イベント検知ソフトウェア」について
https://www.hitachi-solutions-tech.co.jp/solutions/generative_ai/event_detection/index.html
日立ソリューションズ・テクノロジーは今後も、生成AI技術と現場実装力を活かしたソリューションの提供を通じて、誰もが安心して働ける環境づくりを支援し、持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。
