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三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:市村 聡)は、東京大学、名古屋市立大学、金沢大学との共同研究により、体外で培養した肝細胞が、生体の肝臓と同様に胆汁を連続して排泄できる世界初の新規デバイスを開発しました。本デバイスによる肝細胞培養には三井化学の酸素透過性細胞培養プレート「InnoCell(R)」が使用されています。本デバイスを使用することで、肝細胞へ負荷を与えることなく胆汁を効率的に回収し、その成分を高精度に評価することが可能となります。
この技術革新により、創薬プロセスにおける肝毒性評価や薬物相互作用の予測精度が向上するだけでなく、胆汁排泄機能に関わる肝疾患メカニズムの解明にも大きく寄与することが期待されています。
肝臓は、薬物代謝や有害物質の排泄を担う重要な臓器であり、その主要な機能の一つが「胆汁の生成・排泄」です。しかし、従来の体外の評価系では、細胞への負荷や、胆汁が細胞のすき間(毛細胆管)に滞留しやすい構造的な制約により、生体と同様に胆汁が流れ続ける環境を再現することが困難でした。そのため、胆汁排泄物を十分に回収できず、長時間にわたる胆汁代謝の評価には大きな課題がありました。
今回開発した新規デバイスでは、肝細胞が生体と同じように胆汁を継続的に排泄できる微細流路構造を実現しました。これにより、細胞への負担を抑えながら、胆汁排泄物を従来比13.7倍という高濃度で効率的に回収することに成功しています。さらに、この環境を長期間安定して維持できるため、胆汁代謝の時間依存的な変化を正確に捉えることが可能になりました。本デバイスは、現在社会課題となっている 肝毒性評価、薬物相互作用の予測、肝疾患メカニズムの解明など、肝臓研究の高度化に大きく貢献することが期待されています。
InnoCell(R)が担った役割は次の通りです。
(1) 肝細胞への十分な酸素供給
肝細胞は酸素を多く必要とします。InnoCell(R)は独自素材により底面から酸素を供給できるため、従来の細胞培養プレートでの培養法と比べて、より本来の肝細胞に近い状態を保つことができます。
(2) 毛細胆管の形成を促進
酸素供給が改善されることで、胆汁の通り道である毛細胆管の構造がより安定して形成されました。
これは、胆汁を連続的に排泄させる上で必須の条件です。
(3) デバイス性能を最大化
研究チームは「InnoCell(R)がなければ、胆汁排泄デバイスの性能は十分に発揮できなかった」とコメントしており、本技術の実現を支える基盤としてInnoCell(R)が機能しました。

培養肝細胞が分泌した胆汁成分の連続的排泄を可能とする新規肝細胞培養デバイス
■表 利彦CTO常務執行役員コメント
InnoCell(R)が世界初の胆汁連続排泄モデルの実現に貢献できたことを大変光栄に思います。高酸素環境による肝細胞極性の維持は当社独自の技術が最も活用できる領域であり、今回の成果が創薬研究や肝疾患研究の飛躍的な進展に繋がることを期待しております。
■今後の展開
三井化学は国内外の大学をはじめとするアカデミア・製薬企業と連携し、肝疾患研究、MPS(多臓器連結系)、オルガノイド創薬などの分野において InnoCell(R)を用いた研究基盤の提供を強化してまいります。
■InnoCell(R)製品概要
(特設サイト: https://jp.mitsuichemicals.com/en/special/innocell/index.htm )
特徴 : 高酸素透過性、低自家蛍光、低薬剤吸着性
推奨用途: 肝細胞培養、オルガノイド/スフェロイド培養、毒性試験
研究実績: 培養肝細胞の極性再現に関する研究
(Fundamental Toxicological Sciences 2024)
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